捕獲の安全性

捕獲に関連して、毎年多くの事故が生じています。

なぜ危険な場面が起こるのか、どのような方法や仕組みでその危険な場面を減らせるのか、整理してみましょう。

 

【事故の分類】

捕獲の手法には様々なものがありますが、まず大きく銃と罠で分けてみましょう。

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① 銃による事故

銃を用いた捕獲で真っ先にリスクを考えなければならないのは、もちろん人身事故です。

毎年、所持許可を受けた銃器による人身事故が発生しています。

捕獲者が同行していた別の捕獲者を撃つ事故に加え、無関係の第三者を直接殺傷する事故や財産を毀損する事故も多く発生しているのが銃器を用いた捕獲の特徴です。

銃器による事故は「過失」を原因とするものがほとんどを占めます。

安全確認を伴わない発砲や、発砲する機会が無いのに銃に弾を込めておく行為によって、誤射や暴発が発生しています。

銃そのものの事故以外で注意すべきものとしては、逆襲による事故と猟犬による事故があります。

追い出しをかけて捕獲する手法(巻き狩り)によって、追いかけられたイノシシが興奮状態となり捕獲者を逆襲する事例や、逃げていった先で無関係の人に被害を生じさせるような事例があり、放たれた猟犬によって無関係の人が被害を受ける事例もあります。

② わなによる事故

罠を用いた捕獲では、銃を用いた捕獲ほど他者を直接的に害する事故は多くありませんが、多様な事故リスクがあります。

例えば大型のはこ罠では扉が重いものがあり、罠の構造を知らない人が触ると挟まれて怪我をする恐れがあります。

罠の解除方法が分からない人が罠にかかり、助けを呼ぶ手段が無い場合は、事故の発見が遅れて結果が重いものとなる恐れもあります。

くくり罠では、くくりの径が大きかったり、バネの締め付け圧が強すぎたり、すぐに外せる構造になっていなかったりといった理由で、重い事故が発生する可能性があります。

罠による捕獲でも、捕獲対象動物による逆襲が起こり得ます。

特にくくり罠では獲物がワイヤーの届く範囲を動き回り、設置の仕方に問題があると獲物の肢が切れる事もあるため、捕獲者に加えて周辺を通行する人を事故に巻き込む可能性があります。

罠にかかったイノシシ等は人の気配を察知すると伏せて隠れる事も多く、罠の設置環境によっては無関係の人が気付かずに襲われる状況が生じる可能性があります。

③ 捕獲行為に直接の原因が無い事故

これは捕獲作業に限った話ではありませんが、山林に入って作業する際は滑落、遭難、熱中症等の事故が発生する場合があります。

時期によってはマムシやスズメバチに刺される事故、あるいはダニ媒介性の感染症に罹患するリスクもあります。

近年は捕獲者が高齢である場合が多く、例えば心筋梗塞や脳卒中のような急病が人里から離れた場所で発生し、レスキューが遅れるリスクも高くなっています。

捕獲をする際は捕獲行為に直接の原因がある事故にばかり気が取られがちですが、こういった「山に入る際に通常気を付けておくべきリスク」もケアしなければなりません。

 

【事故と捕獲制度の関係】

現在はどの捕獲区分でも概ね同じ捕獲方法(法定猟法)が採用されています。

しかし、同じ人が同じ捕獲手法で同じ対象を捕獲していていても「どの制度区分上での捕獲か」で事故の意味合いが異なります。

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① 狩猟における事故

「狩猟」は個人の責任で行われる捕獲です。

狩猟では事故リスクの比較的低い「法定猟法」が定められており、逆に危険なものは「危険猟法」に指定され禁止されています。

しかしそれ以上の部分の安全確保については個人任せで、特にわな猟ではほとんど方策が示されていません。

銃猟免許の試験に関しては、銃器を用いた捕獲を複数人で実施する際の銃器の安全な取り扱い方法を問う試験があります。

銃に関しては狩猟免許とは別に、所持許可取得や所持許可更新の過程で安全な運用についての技能が問われる部分があります。

しかしわな猟免許については「法定猟法を実施できる技能」を問われるだけで、「法定猟法を”安全に”運用する技能」を問われることはありません。

全体を見れば、基本的に狩猟免許は狩猟制度に関する理解度を証明するだけのものなのです。

法定猟法の中で事故が発生している現状があるのですが、「法定猟法の運用の中での安全確保」という点について狩猟制度では何もケアされていません。

狩猟登録時には賠償責任能力の証明(保険の加入状況等)を要求されますが、これは事故が起こった後を問題としたものであり、事故を未然に防ぐ能力ではありません。

事故が発生した場合は全て個人の責任となります。

② 有害鳥獣捕獲における事故

「有害鳥獣捕獲」のような許可を受けて実施する捕獲では、許可が下りた方法において捕獲を実施するため、許可権者の責任が一部問われる可能性があります。

特に「狩猟で可能な捕獲方法」を外れた手法等で有害鳥獣捕獲を実施する場合には、許可した者がそれを安全と判断した責任が生じます。

具体的にはニホンザルの有害鳥獣捕獲、ニホンカモシカの個体数調整捕獲、ツキノワグマやヒグマの罠による有害鳥獣捕獲などです。

これらは対象種や手法の点で狩猟の枠組みを離れているため、本来であれば許可した者(主に市町村)が安全性に関する十分な根拠を持っていなければなりません

特にクマ類のわな捕獲は銃猟とは全く異なるリスクが生じるため、十分な専門性と計画が必要です。

ただし現状では、許可捕獲においても行政側に許可権者としての責任が問われる事は少なく、やはり事故が生じれば捕獲従事者の責任とみなされる事が多いようです。

③ 鳥獣被害対策実施隊

有害鳥獣捕獲では鳥獣被害対策特措法に基づき「鳥獣被害対策実施隊」が組織され、実施隊員が捕獲に従事している場合があります。

実施隊員は非常勤の公務員という扱いになるため、捕獲に関連して事故が起こった場合は雇用主である市町村の責任となります。

この「鳥獣被害対策実施隊」の制度は民間の捕獲従事者を任命する形で使われる例がほとんどなく、市町村の正規の職員が実施隊員になる形(実際にはほとんど捕獲に従事しない)が非常に多くなっています。

皮肉な話ですが、これは捕獲による事故リスクを行政側が十分に認識しているからです。

④ 委託事業

近年は「指定管理鳥獣捕獲等事業」のように、行政が民間に委託事業として捕獲を発注する形式が増えてきました。

この委託事業の中で事故が発生すれば、基本的には受注した民間団体が責任を問われることになります。

ただし、発注する事業内容や発注の形式等に事故の主因がある場合は、行政側の責任も問われる可能性があります。

このように見てみると、狩猟であっても許可捕獲であっても、事故が発生した際に責任を問われるのは基本的に捕獲従事者あるいは捕獲者団体が中心である、という状態が続いています。

つまり行政側の責任が問われる場面が非常に少なくなっています。

これはリスクを低減する方策を考える上で非常に重要な点です。

 

【事故発生の背景】

事故を避ける方法は、「どのような場面や理由で事故が起こるか」を知っていれば比較的簡単です。

ここでは事故を避ける細かな手法はひとまず置いておき、「簡単に避けられる事故や普通ではあり得ないような事故がなぜ起こるのか?」を考えてみましょう。

現在はどの捕獲制度であっても、ほぼ狩猟者が捕獲に従事しています。

実は罠であっても銃であっても、現在の捕獲で事故が発生する根底の仕組みは似ています。

それは以下のような、捕獲者に共通する社会環境です。

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① 捕獲環境の密室化

銃による捕獲での事故について考えてみましょう。

散弾銃やライフルといった銃の種類によって銃の安全な運用は異なりますが、発砲の際の確認不足あるいは不必要な弾の装填が実際の事故の主要な原因である点は変わりません。

実際の事故を見ると、不要な場面での実包の装填や林道からの発砲、家屋に近い場所での発砲など、事故に至るまでのどこかの段階で違法行為が絡んでいる事例が多くなっています。

リスク管理の世界に「ハインリッヒの法則」というものがあります。

1件の重大な事故の背景には多くの軽微な事故があり、その背景にはさらに多くの事故未遂や安全ではない行動がある、という法則です。

事故が多発する制度区分においては、不安全行動(つまり違法行為)が常態化している捕獲者が多くいると考えるべきでしょう。

誤射の事例も一般的な感覚からすればあり得ない判断によるものばかりです。

当然、「捕獲しようとする対象の識別」「人がいないことの確認」「安土の確認」が無いのに発砲する事があってはなりません。

なぜ、このような違法行為や甘い判断が生まれるのでしょうか?

身近な「車の運転」を例に考えてみましょう。

基本的に、交通事故は運転経験を経ることで減っていきます。

これは初歩的なミスが減少していくことに加え、公道上での取り締まりが機能しているからです。

ところが実は安全不確認のような違反行為については、運転免許取得後の経過年数に比例して多くなっていく傾向があります。

悪い意味で慣れていくからです。

違反を繰り返す人ほど重大な事故を起こす傾向があり、取り締まりには免許の停止や取消によって危険な運転者を除去する効果もあります。

もし取り締まりが無ければ、交通法規を守らないドライバーと交通事故が大幅に増えることになります。

つまり交通の安全性は、運転免許制度のみではなく、悪い慣れを引き締め危険な運転を除去する取り締まりを実施することによって高められているのです。

交通と狩猟の分野の大きな差は、この「違反取り締まりの質と量」です。

捕獲は基本的に山林内で行われるものであり、なかなか人目につきません。

そして捕獲の分野では屋外での取り締まりがほとんどありません。

狩猟の解禁日にのみ特定の場所で取り締まりが行われるような地域が多くなっています。

つまり、捕獲者の意識を引き締め、事故に繋がる行動を減らす取り締まりが十分には機能していないのです。

取り締まりが無ければ非常に危険な行動をとる捕獲者が増え、重大な事故が発生しやすくなってしまいます。

② 捕獲への欲求と趣味

現在はほとんどの捕獲区分で狩猟者が捕獲に従事しています。

狩猟者には当然「獲物を捕りたい」という欲求を持つ人が多くいます。

例えば「スピードを出したい」「どんどん他の車を追い越したい」という欲求は、その強さが人それぞれです。

スピードへの欲求を強く持つ人はリスクを客観視しにくくなり、速度超過違反を一般の人よりも犯しやすくなる可能性があります。

同様に、「捕獲したい」という欲求を持つ人は捕獲の成否が判断の中心になってしまい、安全性を二の次にする場面を生み出しやすいのです。

先述の「密室化」との相乗効果によって、こういった心理的な作用はどんどん増長してしまいます。

一歩間違えば大きな事故が発生し、複数の人生を大きく狂わせることがある点は、車の運転でも捕獲でも同じです。

どのようなリスクがあっても、判断が甘くなる人は甘くなります。

加えて、狩猟は基本的に「趣味」の捕獲区分です。

例えば捕獲を「生業(なりわい)」としている人は、小さな事故でも起こしてしまうと捕獲が出来なくなり生活が成り立たなくなってしまう可能性がありますから、安全を優先する傾向が強くなると考えられます。

しかし趣味の狩猟者は捕獲ができなくなったとしても生活の軸となる仕事が別にあり、生活への影響が小さなものとなります。

事業者ではなく趣味として捕獲に接している分、狩猟者は捕獲の安全性に対する認識が弱くなる可能性があります。

こういった心理的な作用を十分に認識し、適切に対応する仕組みが十分には整っていないのです。

③ 責任の取り方

許可捕獲については、より重要な視点があります。

まず一般的な公共事業について考えてみましょう。

もし公共事業を受注した会社(法人)の中に危険な方法や態度をとる構成員がいたら、他の構成員が注意するでしょう。

場合によってはその会社の規定に従ってペナルティが課されます。

安全管理を重視することによって面倒な作業が増えても、仕事が遅くなったとしても、危険な行動は止められるでしょう。

なぜでしょうか?

人の怪我や命の危機を懸念して指摘することは当然ですが、それ以外にも理由があります。

まず、構成員あるいは第三者の怪我や死亡への対応によって会社側の事業運営に大きな負担が生じる点があります。

加えて、公共事業の中で事故が起これば行政に報告せねばなりません。

事故を起こせば事業者としての信頼性が低下するため、次の公共事業を受けにくくなります。

つまり事故によって会社の経営が難しくなり、構成員全員が路頭に迷う可能性が出てくるのです。

これが、一般的な会社の中で構成員が互いに危険な行動を防止しよういう共通意識を形成する大きな動機となっています。

一方で、現在起こっている捕獲に関連した事故はどうでしょうか。

事故を起こした団体にどのような処分が科されているかを考えてみましょう。

調べてみると、ほぼ何も無い事が分かります。

現在の捕獲従事者のほとんどは狩猟者団体の会員です。

しかし一般的な狩猟者団体では、事故が起こった際は基本的に個人の責任とされ、団体としての責任を問われることがありません。

これは狩猟でも許可捕獲でも同じです。

有害鳥獣捕獲等の許可捕獲で事故が起こった場合は自発的に捕獲の自粛期間が置かれることがありますが、団体の存続どころか団体の長の責任が問われる事もほぼありません

構成員が路頭に迷う心配もありません

事故が全て個人の責任となるのであれば、互いに危険行為を指摘して事故を減少させるより、相互の指摘による人間関係の悪化を避ける方向へ意識が向いてしまう可能性があります。

自分に直接の被害が生じない程度に距離を取り、知らぬふりをするということです。

現状では多くの自治体で捕獲従事者が単一の狩猟者団体のみとなっている場合も多く、これが事故を育てている側面もあります。

捕獲を担うのが単一の団体のみであれば、事故が起こった後も捕獲(主に有害鳥獣捕獲)の需要に圧迫されて、再発防止策が曖昧なまま捕獲が再開されることが多くなります。

これでは「事故が起こっても団体は大丈夫」という誤ったメッセージを行政が与えているようなものです。

現在の捕獲者のほとんどは、構成員の間に相互の安全確認を優先させる共通意識が育ちにくく、むしろ安全を軽視する慣習が形成されやすい社会環境の中にいるのです。

 

【リスクに関する混乱】

事故が起こった際はあれこれと対応策が議論される事になりますが、ピントのずれた対策や意見が採られる場合が多く見受けられます。

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リスクとクライシス

リスク管理の話でよく対策として挙がるものに「保険加入」「連絡網の整備」「応急処置」等があります。

しかしこれらは“リスク管理”ではなく事故後対応の話で、“クライシス管理”に近いものです。

予防上はほぼ無意味であるということです。

保険については「加入しているから安心」と逆に無茶な捕獲を助長する可能性もあります。

連絡網や応急処置は、単独での捕獲作業中に自力で動けなくなるような重い事故が起こった場合は活用できません。

これらは2人以上の作業で効果が期待できるものであり、捕獲を複数人体制で回すことをシステム化する取り決めがなければ意味がありません。

このように、事故後対応の話だけを進めるとリスク管理に空洞化した部分が出てきてしまいます。

重要なのは順序です。

事故が発生する可能性を減少させるリスク管理が前提であり、その先に事故後対応(クライシス管理)がある、という発想を持っておく必要があります。

事故発生後の対処には、リスク管理があってはじめて可能になるものや、リスク管理によって効果が高まるものがあります。

そして、リスク管理に関してまず議論の中心とすべきは、先述した捕獲従事者の社会環境です。

根源への対処がなければ、事故はいつまでたっても減りません。

 

【制度の改善案】

では、捕獲の安全性を向上させるための方策を考えてみましょう。

その内容は以下のようにシンプルです。

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① 取り締まりや監視の強化

法律は、存在するだけでは十分な効果が生まれません。

適切な取り締まりが必要です。

そうでなければ警察はいらないはずです。

捕獲の多くは山林内で行われる作業であるため、取り締まりによる十分な引き締め効果を期待するのであれば、交通違反等の取り締まりよりも効率的に実施する必要があります。

「許可捕獲」や「委託事業」においては実施場所や方法が明確であるため、役場職員や警察官が抜き打ちで現場を確認し違反がないかを確認するような対策が考えられます。

「狩猟」においては、まずは狩猟者に監視の目があることを実感させる必要があります。

野外で警察官が狩猟者に合って許可証等を確認し、捕獲個体の放置や違反行為を見なかったかといった聞き取りの機会を増やすことが重要です。

軽微な違反の段階で摘発される環境が作られれば、事故は未然に防がれ、優良な捕獲者が残りやすくなります。

捕獲関連の法律や違反状況に詳しい警察官が少なく、効果的な取り締まりが実施できない状況にも問題があります。

地方では他分野よりも比較的事故リスクの大きな分野であるため、県レベルで数人程度は専任の職員が必要でしょう。

実は「特別司法警察職員」という枠組みで、狩猟の取り締まりを実施できる都道府県職員を置く仕組みが存在しています(鳥獣保護管理法第七十六条)。

しかしこの枠組みにおける取り締まり件数は一般警察職員によるものよりも圧倒的に少なく、形骸化している状況です。

まずはこの制度をしっかりと機能させ、実効性を確保する必要があるでしょう。

② 事故へのペナルティの設置

特に団体に対する許可捕獲や委託事業について、事故や違反発生時の十分なペナルティを用意すべきです。

例えば事故を起こした団体はその後の捕獲許可や委託事業を受けにくくなる、あるいは一定の許可停止期間が生じるなど、事故が起こる前にどのような不利益を団体が受けるのかを明確にする必要があります。

そうでなければ、団体内部の安全管理に対する意識が向上しません。

有害鳥獣捕獲のように個人に許可を出す区分が存在する捕獲であれば、その個人に対するペナルティも明確化し、捕獲の許可を出す前に十分に説明して意識づけをする必要があります。

先述しましたが、捕獲従事者が単一の狩猟者団体に依存しているためにこういったペナルティの設置が敬遠され、安全管理への意識が低下している状況があります。

このため、特に需要の大きな有害鳥獣捕獲に関しては捕獲従事者や捕獲者団体を多角化する必要があります。

もともと有害鳥獣捕獲は被害を受けた者が申請して実施する捕獲であることから、農業関係者の中に従事者を育てる施策を取る事が望ましいでしょう。

③ 研修等を含めた許可制度

「法定猟法の安全な運用」に関する資格は現時点で存在せず、狩猟免許ではこの点をカバーできません。

このため、技術面で事故を起こしやすい経験の浅い狩猟者や有害鳥獣捕獲を実施する個人に対しては、研修等によって捕獲における安全確保の方法と注意すべき点を十分に伝える必要があります。

近年増えている罠による捕獲であれば「混獲回避の方法」「人がかからない方法」「万一かかった際の外し方の掲示」「対象動物の肢の断裂を防ぐ方法」「止め刺し方法」「見回りの頻度や方法」といったものについて、パンフレットの配布や研修の実施が必要です。

許可捕獲に関しては、狩猟免許ではなくこういった専門の研修を受けた者にのみ許可を出すような仕組みが理想的です。

銃による捕獲については、技術的な未熟さに起因する事故が非常に少ない状況にあります。

つまり「悪質な慣れ」を原因として発生するものが多いということです。

こういった慣れに起因する事故に対しては、研修等を実施してもあまり効果が見込めません。

罠を用いた捕獲においても慣れは起こりますので、取り締まりや事故発生の際のペナルティはいずれにせよ必要になります。

 

現状、事故が起こった際はほぼ捕獲者個人の責任とされています。

しかしこれまで述べてきたように、事故が多発する背景には「それを招く社会環境」が存在しています。

この点についてははっきりと「行政的な問題である」と指摘する必要があります。

捕獲制度は社会的な要求を基に行政が運用しているものです。

行政側が問題点を認識して制度を補完しなければ、民間では誰も十分なシステムを作りません。

そのためにも、多くの人が冷静に現状を理解し意見する必要があるのです。