第20回「野生生物と社会」学会犬山大会

犬山大会要旨集 2014年10月31日~11月2日までの3日間、愛知県犬山市の国際観光センター”フロイデ”で「野生生物と社会」学会大会が開催されました。今回は第20回の記念すべき大会であると同時に、野生動物管理に大きく関連している鳥獣法が改正された年でもあることから関心も高く、これまでの大会で最多の参加者だったとのことでした。

 大会企画テーマセッションでは、「森林とシカの管理」および「次世代の管理の担い手育成」を取り上げ、これまでの取組や事例を紹介しながら、改正鳥獣法をふまえた今後の展望についての講演が行われました。また、大会3日目には、野生動物対策に取り組む様々な分野の方たちが企画したテーマセッションが丸一日行われました。地域主体の獣害対策、野生生物による交通事故など、正面から野生動物問題を取り上げたセッションから、ポケモンを事例として生物多様性を考えたり、最高の人間関係を見つけるワークショップまで、多種多様なセッションが開催されました。懇親会翌日の朝9時半から19時までの長丁場にも関わらず、最後までたくさんの方が参加し活発な議論が行われました。

 大会終了翌日の11月3日には、同じ会場で「改正鳥獣法に寄せる期待と展望」と題して、4学会合同のサテライトシンポジウムも開催されました。今回の改正によって各学会がそれぞれ関わる項目についての紹介と、野生動物管理の最前線を担う方から現場での経験を通した事例紹介がありました。これらをふまえた総合討論を経て、最後に次なる鳥獣保護管理法と制度設計に向けて、「順応的・科学的管理と分業体制」および「行政機関の連携と研究機関の整備」について提言があり、シンポジウムは閉会しました。

 今回の大会とシンポジウムに参加して、野生動物をめぐる状況は大きな転換期にあると改めて感じました。これは裏を返せば、すでに待ったなしの状況に追い込まれているとも言えると思います。これからどのように野生動物との関係を築いていくのか、実際の現場で活動している私たち一人一人が真摯に向き合って考えていくべきだと改めて感じた4日間でした。