誘引を伴うくくりわなによるシカ捕獲について

 くくりわなで動物を捕獲するには、10cm程度のわなの真ん中を踏んでもらわなくてはなりません。通常は獣道を利用し、段差があるところなど最も踏みやすい場所を見極めて設置しますが、これには勘と経験が必要であり、初心者が捕獲できるようになるまでは、ある程度の期間が必要です。

 そこで、わな猟初心者である筆者は、餌で誘引しての捕獲を試みました。立木や岩など、シカの進入方向が限定される場所に餌を設置し、食べに来たシカが足をつくと思われる場所にわなを仕掛けます(写真)。餌を置くことでシカが集中して利用するため、わなを踏みこむチャンスが多くなることを期待しています。誘引餌にはヘイキューブと食塩を利用しました。
誘引を伴うくくりわなの設置例
 設置場所は可猟区で、狩猟期間中の1月から2月にかけて2週間設置しました。AとBの2つの林道路線で試したところ、A路線では延べわな数52基で4頭捕獲(捕獲効率0.08頭/延べわな数)、B路線では88基で1頭捕獲(同0.01頭/延べわな数)という結果でした。銃猟者も入猟する場所にしては、まずまずの結果ではないかと思います。B路線の効率が落ちたのは、シカの出没が少なく餌の採食が少なかったことが原因と考えられます。

 獣道にわなをかけることは、シカ以外の動物を捕獲してしまう可能性がありますが、餌で誘引することにより、わなに捕獲する対象種を限定することができます。なお、ヘイキューブはカモシカも誘引するため、両者が生息する地域では注意が必要です。